建築の目的と建築コストの関係について

建築の目的と建築コストの関係について

建築

建築の目的と建築コストの関係についてラカトン&ヴァッサルのお二人がうまく言語化されているなと思いますので、一部を抜粋してご紹介させていただきます。

「いま課題とされているのは材料ではなく予算です。喜ぶべきか悲しむべきかわかりませんが、現代社会ではほとんどの場合、経済的な最終目標がすでに決まっていて、私たちはその枠組みのなかで働いています。」

「高いということは安いということの対義ではないのです。重要なのはお金の額ではなく、そのお金をどのように使い、なにを提供するかということです。中略。唯一問うべきはその目的、つまりなんのために使うのかということです。」

「コストとプロジェクトの直接的な関係を再考し、限界を乗り越えなくてはなりません。そのためには新たなアプローチが必要です。」

(長谷川豪 著 カンバセーションズより抜粋)

わたしが一般的なスタイルを逸脱し、自分で設計した建築の費用を算出し、施工まで一貫して対応している理由が明確に言語化されているなと思いました。

わたしが建築を始めた20年ぐらい前はすでに、目的が予算に縛らているのは当たり前の状況になっていました。建築プロジェクトが、予算によって目的を遂行できずに完成してしまうケースも多々見てきました。

その結果、予算管理ができないと、目的が遂行できないということを肌で感じ、設計と並行して施工まで自分で把握していったんだと今振り返れば理解できます。

施工まで一貫して対応するメリットはいろいろありますが、性能の高さとコストパフォーマンスの高さの両方の視点に基づいて建築を構築していくうえで、設計と施工を切り離すことに合理性が無かったということ、つまり、目的の遂行を一番に考えたときに設計と施工をまとめてコントロールした方が合理的だと考えたということだと思います。

現場やコストのことに設計者(建築家)がどこまで踏み込むべきなのか自問自答している部分もありましたが、世界を見渡せばラカトン&ヴァッサルのお二人 のような建築家もいらっしゃって、独自のアプローチで目的の遂行のために予算と向き合っていることを知り、自分も自分のやり方でとことん踏み込んでいけばいいんじゃないかなと思った今日この頃です。