安藤忠雄さんがコンクリート打ち放しの住宅を初めて設計されたのは冨島邸という個人宅です。
厳しい予算に対して出した答えが内も外も一気に仕上がるコンクリート打ち放しという方法だったようです。デザインや構造の側面からも考えられたとは思いますが。
コンクリートは打ってしまえば内も外も一気に出来上がってしまうので、断熱を考慮しなければそれ自体が仕上げになります。仕上げが必要なければ、その分の費用がかかりません。
現在は、当時と比べてコンクリートの価格がとても高価になっているために、コンクリート打放しでコストを抑えることは不可能になりました。しかし、工程を減らしてコストを抑えるという考え方は現在でも十分に活かすことができると思います。
コスト面や環境面から考えて木を使って上記のようなことができないかと考えています。木は燃えるので、その外側、内側を不燃物で覆うことが法律で課せられています。
法律を読み解き、安全性を確保して、木造がそのまま仕上げになるような方法を実現し、そして、それが建築的に美しければ、現代の住吉の長屋を発明することができるかもしれません。